今回はCaprure Oneに新しく搭載された『ルックを再現』という機能を色々と試してみたので書いてみたいと思います。
Capture oneってどんなソフト?
まず簡単にCapture Oneというソフトについてですが、数ある写真現像ソフトの中で特にRAW現像処理に優れており、高品質な画像が得られることでプロの写真家の方や撮影現場でのテザー撮影等でも長年使用されている定評のあるRAW現像ソフトです。
Capture Oneについてはこちらもご参考ください。
そんなCapture Oneの最新版に新たに搭載されたのが『ルックを再現』という機能になります。
『ルックを再現』ってどんな機能?
簡単に書くとAIを活用しお気に入りの写真の「ルック=見た目」をコピーして、他の写真にペーストすることで「ルック=見た目」をワンクリックで再現できる機能です。
ズボラな性格の私などはこの機能を初めて知った時は「なんて夢の様な神がかった機能なんだ!」と驚愕しました。
今回色々と試した結論を先に書くと「完全では無いがある程度は再現でき、汎用性は高い」です。ただし色々と試していると注意点も幾つか見えて来ました。
実際に『ルックを再現』を使ってみる
今回はデジカメで撮影したRAW画像に過去に撮影したフィルムのデータを『ルックを再現』で適用した場合と、GRⅢxで撮影したRAW画像に同カメラ内RAW画像したデータを『ルックを再現』で適応した場合をテストしてみました。
使い方はいたって簡単で
- 『ルックを再現』機能を使用したい画像をCapture oneで開きます。
- 調整画面にある『ルックを再現』ツールにルックを参照したい画像をドロップします。
- 適用させたい要素をチェックして適応を押します。
以上です。はい、めっちゃ簡単ですね。詳しくを以下の動画もご参照ください。
では実際に『ルックを再現』機能を使ってみます。
LUMIX S1で撮ったRAW画像にフィルム写真のルックを適応してみる
今回使用する画像はLUMIXのS1で撮影したRAW画像です。何も手を加えずにCapture Oneでストレート現像したものがこちらです。
次に過去にHasselblad 501CM+CF80/2.8にカラーネガのPRO160NSを詰めて撮影した写真を使って『ルックを再現』を使用してみます。
PRO160NSは淡い色調と少し青が強めなのが特徴のフィルムで、ISO160ということで粒状性にも優れておりポートレートでよく使っていた大好きなフィルムでした。残念ながら現在は販売終了しています。
上記の使い方の手順に沿って『ルックを再現』をしようしてみました。
ちなみ『ルックを再現』で再現できる要素は
- ノーマライズ:露出、ホワイトバランス
- ライト&コントラスト:コントラスト、明るさ、HDRハイライトとシャドウ、HDRホワイトとブラック、レベル(入力)、輝度カーブ
- カラーアジャスト:彩度、ベーシックカラーエディター、B&W(白黒)
- カラートーン:カラーバランス(マスター)、カラーバランス(S,M,H)カラーチャネルカーブ
となっており全てチェックすることでON/OFFができ、適応する強弱はインパクトという項目で40~120まで調整することもできます。ちなみに今回の検証は全て100で適応していて、適応後の写真がこちらです。
どうでしょうか。個人的には完璧ではないですが確かに160NSの色味に近いルックになっていると感じました。
いやーほぼワンクリックでここまで調整してくれるなんて、凄い時代になってきましたね。どんどん試してみましょう。
続いて上のRAW画像を『ルックを再現』の機能で調整してみます。適用する写真はこちら。
先程と同じくHsselblad 500CM+CF80F2.8にPORTRA400を詰めて撮影した写真です。ポートラは今でも人気のKodakのカラーネガフィルムですね、ポートレートから風景撮影まで鮮やかさと自然な色合いが素晴らしいフィルムです。
そして先程と同じ手順で『ルックを再現』を適応した写真がこちら。
う~ん、ポートラでは無いかな。ちょっと彩度が高いのと、グリーンとイエローに寄り過ぎの感じがしますね。
適用に使用した写真に紅葉した木々が多く写っていたのでそちらが影響したのかもしれません。
このように『ルックを再現』で調整したい写真と参照として使用する写真のシチュエーションに余りにも相違がある場合は望んでいる結果には至らない事あります。
極端な話、参照に使用する写真が夕焼けの写真だったりすると適用後の写真は夕焼け色に染まることになります。『ルック=見た目』を再現する機能なので当然と言えば当然ですね。
ただし適応後の結果が気に入らなくても少しの調整でリカバリできる場合もあります。上記の『ルックを再現』を適応した写真をさらにCapture Oneにて色温度と色味と露出を調整してみた画像がこちらです。
初めの写真よりは参照元の写真に近づけたかなと思います(まぁ自己満足の範疇ですが)。
GRⅢXのカメラ内現像した写真を『ルックを再現』できるか試してみる
続いてはGRⅢxでカメラ内現像した写真を参照にして『ルックを再現』でカメラ内現像した時と同じ仕上がりになるか試してみました。
上の写真がGRⅢxのRAW画像をCapture OneにてJPEGに現像しただけのものです。
そして上の写真がGRⅢxでカメラ内現像した写真です。ポジフィルムを意識して調整してみましたが、GRのカメラ内現像は使いやすく満足する結果が得られるので、ほんとに優秀だと思います。
そして次に1枚目のRAWデータを先程のGRⅢxのカメラ内現像した写真を参照元にして『ルックを再現』を適応してみました。その結果が下の写真です。
うーんおしい!露出が少し違うのと色味も少し違いますが、これぐらいなら微調整すればもう少し近づくかも。
ではどんどんいきましょう、続いてはこちらの写真。
先程と同じくRAWデータをCapture Oneにて無調整でJPEGに現像しただけの物が上の写真です。そしてこれをGRⅢxのカメラ内現像したものがこちら。
現像レシピは先程とほぼ一緒でこちらもポジフィルムを意識して現像してみました。カメラ内でここまで現像調整できるのだから素晴らしいですよね。
そしてこの写真を参照にRAWデータをCapture Oneにて『ルックを再現』した写真がこちらになります。
ん!?なんでこうなったの?
露出も違うしあきらかに緑被りしてますよね。写真全面の芝生の緑が強めに反映されたのか、興味深い結果になりました。
ただ同じ写真を参照元にしてこれだけ結果が乖離してしまう現状では、まだまだ発展途上の機能といえるかもしれません。
ちなみに上記の写真を『ルックを再現』後に微調整もしてみましたが、比較的簡単に参照元に近づける事はできました。
かなり近づけたと思うのですがカメラ内で出来る事を手間をかけてCapture Oneでするメリットが余り無いですね。っと考えていたら有りました。
『ルックを再現』でGRⅢxのカメラ内現像に近づけたRAWデータをさらにCapture One使ってカメラ内RAW現像では出来ない細かな調整をする事ができます。
まあカメラ内現像したJPEG画像からでも同じことができますが、RAWデータの方が柔軟に扱える点ではメリットだと思います。
感想・まとめ
今回はCapture Oneに新しく実装された機能『ルックを再現』を使って色々と試してみました。
結果としては先に書いたように「完全では無いがある程度は再現でき、汎用性は高い」です。
『ルックを再現』機能を試して感じたメリット
- 1から調整するよりも目指しているルックに早く近づける。
- 調整する写真が複数枚ある時は(違うカメラで撮った写真でも可)、簡単に統一感のあるルックに素早く仕上げられる。
同じく感じたデメリット・注意点
- 参照元の画像のシュチエーションによっては全然違うルックになってしまうので、できるだけ似たような画像を選ぶ必要がある。
- 完全なルックの再現は現時点では無理。あくまで調整のベースを作ってくれる機能と割り切って微調整は必要である。
あと本文では触れいませんが参照元にする画像は複数枚でもOKです、複数枚にしたほうが精度が上がるのかどうかは検証していないのでわかりませんが。
そして適応させるデータは今回はRAWデータでしたがJPEGでも大丈夫です。ただ『ルックを再現』後に調整が必要な現状ではRAWデータの方が好ましいかもしれません。
デジタルカメラの世界におけるAIの台頭が著しい昨今、あまりに便利になり過ぎると何のためにシャッターを押しているのか疑問に思うのも確かではありますが、便利なものは有り難く使わせて頂こう思います。