
今回は前回に引き続き『GR IV Monochrome』のレビュー記事を書いてみたいと思います。前回は使った感想と作例がメインでしたが、今回はファーストインプレッションということで細かい仕様と『GR Ⅳ』との比較も交えて書いてみたいと思います。
『GR IV Monochrome』ってどんなカメラなの?

まず『GR IV Monochrome』についてですが、簡単にいうと『GRⅣ』をベースにモノクローム(白黒)写真の撮影に完全に特化したハイエンドコンパクトカメラです。
これだけ読むと「ただモノクロ専用にしただけなの?」となりますが、センサーをモノクロ専用にすることによって幾つかメリットがあります。

上の図は一般的はカラーCMOSセンサーとモノクロ専用センサーの違いを図にしたものです。
ご覧のようにカラーフィルターを持たないモノクロ専用センサーは輝度情報だけをダイレクトにセンサーに取り込めます。
これによって高感度耐性に強く解像度の高い画像でモノクロ写真を撮影することができます。
まぁ、ようするにカラー写真は撮れないけどその分描写性能に全振りしたカメラだということですね。
主な仕様
ベースの『GRⅣ』とカメラとしての使用は殆ど一緒ですがISO感度に違いがあります。

『GRⅣ』のISO100~204800に対して、上の表のように『GR IV Monochrome』はISO160~409600となっています。ISO409600ってなんやねんって思ったのは私だけではないはず。
仕様がほぼ同じということは、販売価格で約8万円の差はセンサーの値段なのかな。やっぱり数が出ないモノクロ専用のセンサーってコストが掛かるのかな。
GRⅣの詳しいレビューはこちらをご参考ください。
『GRⅣ』と外観を比べてみる
次に『GRⅣ』との外観の違いをみてみます。

箱は『GRⅣ』と同じタイプのもので、印字だけが違います。

本体は正面から並べて比べてみてもほぼ一緒なのが分かると思います。
違う点としては、まず本体の仕上げが『GRⅣ』は細かいシボ加工のある少し光沢のある仕上げに対して『GR IV Monochrome』はツルッとしたマット仕様になっています。
どちらが良いかは好みの問題だと思いますが、個人的にはマット仕上げが好みです。
後は『GR IV Monochrome』は全面のGRロゴに色がありません。

本体上部の操作ダイアル系も同じですが電源ランプの色が『GR IV Monochrome』は白色になっています。あと個体差かもしれませんが『GR IV Monochrome』は前ダイアルが少し固めに感じます。

背面にある動作ランプも『GR IV Monochrome』は白色に光ります。背面のボタン類もほぼ同じです。

1つ違いがあるのはFnボタンにRedFilter機能が割り振られています。このRedFilterというのは『GR IV Monochrome』専用にあらたに搭載された機能になります。
性能を詳しく見てみる
次に『GR IV Monochrome』の性能を詳しく見ていきます。まずはモノクロ専用機として一新されたイメージコントールを見ていきます。
イメージコントール
『GR IV Monochrome』のイメージコントールはモノクロ専用センサーのポテンシャルを最大限に引き出すために新たに「ソリッド」と「グレイニー」が搭載されました。
- スタンダード
- ソリッド
- ソフト
- ハイコントラスト
- グレイニー
- HDR調
前回の記事ではグレイニーを多様した作例を上げていましたが、使っているとソリッドも硬調でエッジが効いた現代的なモノクロで楽しいと感じています。
実際にイメージコントールごとの描写の変化をみてみます。

名はスタンダードでも侮るなかれ。モノクロ専用センサーならではの豊かな階調と圧倒的な解像感を最も素直に味わえます。

メリハリの効いた硬調でコントラストが高めのモノクロがとれる「ソリッド」。ここにさらにRedFilterを追加して黒を締めても面白いと思います。

全体的にコントラストは抑えめで柔らかな印象のイメージコントールです。柔らかいといっても緩い訳ではなく、ハイライトの階調がとても豊かなので、美しいトーンのモノクロを楽しめます。

GRと言えばハイコントラストと言えるほどの代名詞。『GR IV Monochrome』でもその強烈なインパクトは健在です。深く沈み込んだ黒に極端な白のコントラストが日常をアートに変えてくれるイメージコントールです。

銀塩フィルムのような強い粒状感をもつイメージコントールです。コントラストも高めですがハイライトは完全に飛ばさずに暗部もしっかりと写し撮ってくれるという中々に楽しいイメージコントールです。

個人的にあまり使う機会がありませんが、こういったモノクロ表現も楽しめるのが『GR IV Monochrome』の懐の広いところです。
RedFilter機能
このRedFilterというのは『GR IV Monochrome』専用に開発・搭載されたもので、モノクロ専用機ならではの機能です。
モノクロ写真では、特定の波長の光(色)をカットすることで、白黒の濃淡(コントラスト)をコントロールします。
赤色フィルターは「赤い光を通し、青や緑の光を吸収(遮断)する」という特性を持っていて、この効果を利用して青空に深みを出して白い雲との明暗差をだしたり、赤色の被写体の抜けが良くなります。


『GR IV Monochrome』は従来ではNDフィルター搭載していた場所にこのレッドフィルターを搭載しているようです。


上の写真ではスタンダードを使用していますが、ソリッドやグレイニーで使用しても面白いと思います。
解像感を比べてみる
では実際にモノクロ専用センサーの解像感がどれほど違うのか比べて見たいと思います。
比較対象として『GR Ⅳ』だけでは面白みがないので、今回はフルサイズセンサーの高画素機である『S1RⅡ』も比較対象として比べてみたいと思います。
『GR IV Monochrome』はスタンダード、『GRⅣ』はモノトーンで撮影しており『S1RⅡ』はS24-60F2.8のレンズをつけてズームで28mmに合わせて、モノクロームで撮影しています。

上の写真は『GR IV Monochrome』でイメージコントール・スタンダードを使用して撮影したものです。なかなかトーンが美しい1枚で、さすがモノクロ専用機だなと感じた1枚です。
3機種のカメラそれぞれで同じ構図で撮った写真内の赤枠部分を等倍で比較したいと思います。



リサイズしているので違いがわかりにくくなっていますが、手前の樹木と建物の壁面のテクスチャを見ると『GR IV Monochrome』の方が『GRⅣ』よりしっかりと解像しているのがわかります。
そして驚いたのが、4430万画素のフルサイズセンサーを搭載している『S1R2』に対して中々に良い勝負をしていることです。

GR IV Monochrome
続いても3台のカメラを先程と同じ条件で露出も揃えて撮影しています。赤枠辺りを拡大して比較してみます。





先ほどより遠景での比較ですが、高速道路の標識の文字を見ると僅かに『GR IV Monochrome』の方が解像しているように見えます。が、このぐらいの拡大比較だとそこまで差は無いですね。実際はもう少し拡大すると差はわかるのですが、当倍以上の拡大でわかる差って個人的には意味が無いかなと考えています。
『S1RⅡ』も同じくこの程度の拡大比較ではそこまでの差はないですが、一番シャキッとした写りなのは確か。ちなみにS1RⅡはさらに拡大したら、高速道路の標識がくっきり映っています。
高感度耐性を比べてみる
先程は解像感を見てみましたが、モノクロ専用センサーのもう一つの強みとして高感度に強いという特徴があります。実際にカラーCMOSセンサーを搭載したカメラとどれほどの差があるのか、先程と同じ条件でJpeg撮って出しの画像を『GR IV Monochrome』・『GRⅣ』・『S1RⅡ』の3台のカメラで比べてみます。

ISO6400から順に感度を上げていき、3台のカメラの露出を揃えて撮影したものを赤枠辺りを拡大して比較します。
日中の解像度の比較ではそこまで差が無いように見えた『GR IV Monochrome』と『GRⅣ』ですが、夜間の高感度下ではどのような違いがあるのか、見ていきましょう。





まずはISO6400での比較です。『GRⅣ』の高感度耐性は決して悪くなくGRⅢから1段ほど性能が上がっていると個人的に感じています。が、『GR IV Monochrome』と比べてみるとカラーノイズが目立ってみえます。
対して『GR IV Monochrome』はカラーフィルターが無いのでカラーノイズは存在せず、発生するのは輝度ノイズのみなのでノイズ感は少しありますが解像感がありスッキリした画にみえます。
一方『S1RⅡ』は高感度に弱い高画素機のはずですが、ノイズ感が少なく解像感もありさすがフルサイズといったところでしょうか。






『GR IV Monochrome』は輝度ノイズこそ増えていますが解像度はそのままを維持していますね。『GRⅣ』はカラーノイズの処理の関係か少し細部が怪しくなってきた印象です。個人的にはGRⅣで使用するISOはここまでで、APS-Cサイズのカメラとしては決して悪くない、むしろ優秀な性能だと思います。
『S1RⅡ』は少しカラーノイズが見え始めて屋根の鋼材と柱のディテールが少し怪しくなってきていますが、以前としてクリアな画像に見えます。






普段はあまり使うことのない高感度ISO25600での比較ですが、この辺りから『GR IV Monochrome』の高感度性能が2機種を凌駕してきましたね。
『GRⅣ』はカラーノイズが酷く細部がドロっとした感じでディテールが失われてきているのがわかります。『S1RⅡ』も『GRⅣ』程では無いにしろカラーノイズの影響でディテールが失われてきています。
対して『GR IV Monochrome』は細部のディテールは保ったままで、輝度ノイズこそ増えていますが嫌な感じはなく、むしろ粒状性としては有りな画質だと思います。






たぶん今まで実際にISO51200なんて使った事無いような気がしますが、超高感度での比較結果はいかがでしょうか。
『GRⅣ』の写真は拡大しなくても破綻してきているのが分かりますね。ほんとに非常用に使えるといった感じの画でしょうか。
『S1RⅡ』もさらにカラーノイズが増えてきて細部のディテールが怪しくなってきています。本来は白一色の柱にへんな模様が出てきているのも確認できますね。
さらにもう1段感度を上げて撮り比べてみましょう。






『GRⅣ』はもはや緊急用としても使いたくない画になっていますね。いや、小さな躯体でよく頑張った、撮れるだけでも大したもんだ。
『S1RⅡ』も細部がドロドロになっていますね。フルサイズと言えども高画素機、よく頑張った方だと思います。
そして我らが『GR IV Monochrome』はというと、さすがに輝度ノイズまみれですが驚くことにディテールが保たれているんですよね。カラーCMOSセンサー機のようにドロっとした感じがまったくありません。
APS-Cサイズ搭載といえども小さなコンデジが高感度耐性でフルサイズカメラに勝っちゃうのって凄いですよね。
そして『GRⅣ』・『S1RⅡ』は設定できるISOがここまでですが、『GR IV Monochrome』はさらにISOを上げることができます。




ISO409600はさすがにノイズが酷くて凄いことになってますが、それでも屋根の鉄骨の部分はディテールを残したままノイズだけが乗っているように見えます。
ISO204800は『GRⅣ』のISO51200と同程度か、細部のディテールでいえばそれよりも綺麗だと思います。
気になったこと
まだまだ使い始めたばかりですが、少し気になったことが。何かというと特別使用の塗装であるマットブラックの件なんです。

塗装自体は気に入っているんですが、グリップした時にどうしても爪先がリング部分に当たってしまいます。そうするとリング部もマット塗装になっているので、爪で擦れた部分が白くなってしまうんですよね。
この部分だけ『GRⅣ』のリングを付ける手もあるけど、どうせならマットブラックで統一したいし。悩ましい。。。。
感想・まとめ

今回は『GR IV Monochrome』のファーストインプレッションを書いてみました。
まず初めて手にとって使ってみた感想としては「何時ものGRなので何の迷いもなく撮影できる」ですね。
ベースとなるカメラが『GRⅣ』なので当たり前ですが、撮れる写真がモノクロ専用ってだけで違いはほぼ有りませんでした。

次に実際に撮れる写真の感想ですが、確かに画質面で『GRⅣ』でとれるモノクロ写真と違いはあります。
ただJPEG撮って出しでベースISO付近を使用する日中の撮影では、パット見てそこまでの違いは感じないかもしれません。実際『GRⅣ』のモノクロも結構いい仕事してくれますからね。
そして、そこから細かい所まで拡大してみると『GR IV Monochrome』撮った写真の方が解像しているのは確かです。

変わって高感度での撮影ですが、これは思っていた以上の性能で驚きました。
ISO12800以降はカラーCMOSセンサー搭載のフルサイズカメラと凌ぐ高感度性能と言っても過言では無い性能だと感じました。
APS-CサイズのモノクロCMOSセンサーでこれなら、フルサイズのモノクロCMOSセンサーを搭載しているカメラって。。。。
