『GRⅢ HDF/GRⅢx HDF』の発売からもうすぐ1ヶ月程が経ちますが、実際に使ってみてGRⅢのHDFバージョンってどうなのか、ND搭載のノーマルバージョンと比べてどうなのかという所を今回は書いてみたいと思います。
『GRⅢx HDF』についてはこちらもご参考ください。
ND搭載Ver.・HDF搭載Ver.どちらか持ち出すなら?
いきなり結論になりますがND搭載のノーマルGRⅢ/GRⅢxとHDF搭載のGRⅢ/GRⅢx(以下ノーマルとHDF)どちらかだけ持ち出すなら?と聞かれたら私の場合はHDFを選びます。
手にしたばかりのカメラで真新しさがあり贔屓目に見ているのを差し引いても今回のHDFは個人的に凄くハマりました。
HDFはハイライトを滲ませるフィルターですがその副作用というかHDFで撮った写真はGRのキリッとした硬さが程よく柔らかくなり、角の取れた私的に好みの写りをしてくれます。
もともとフィルムカメラの写りが好きで中版からハーフサイズまで色々使ってきた私にとって、今回のHDFを使ったGRⅢの写りが凄くフィルムチックでかつデジタルの精細さも持ち合わせている、「GRでこういう表現ができたなぁ」という私の願望に近い写りを実現してくれています。
もちろんそんなものはHDF以外のデジカメでも、RAW現像~レタッチでどうにでも出来るでしょうし、フィルムカメラだって中版はそこらのデジカメにも負けないほど精細に写してくれます。
ただやはり中版フィルムカメラはそれなりに嵩張るしアウトプットするまでに時間がかかります(その時間と工程も含めも楽しかったりするのですが。。)
デジカメで撮ったものをRAW現像~レタッチでフィルムチックにするのは今の世の中そこまで手間でもなく、私が使用しているCapture Oneでもスタイルをフィルム風の物を選べば簡単にフィルムチックにすることができます。
まぁ本格的にフィルムの絵に近づけるには高い技術と根気が必要なのは承知ですが、残念ながら私には高い技術も探究心に応える根気も持ち合わせていないので、スタイルを使用したお手軽現像で満足しています。
ただやはり後で好みの画にするのと、撮影中にその画で撮れるのでは撮影体験に差がでてくるのは明白です。
まぁGRのカメラとしての撮影体験は、その他カメラに比べてそんなに高いものでは無いとおもいますが、それでも撮影中や撮影後に好みの画で確認できれば撮影のイメージやアイデアにも結びつくと思います。
なので私はノーマルかHDFかと問われればHDFを選びます。
ということで次はHDFのメリットとデメリットを考えたいと思います。
HDF搭載によるメリット
HDFを選ぶ1番のメリットは上に書いたHDFの効果による画質に関するものですが、もう少し掘り下げてみると被写体とシチュエーションよっていくつか有ると思います。
- 程よく柔らかい写りが相性がよいポートレート撮影に合う
- 逆光時にオールドレンズの様な写りになる
- モノクロ写真と相性が良く撮るのが楽しくなる
- 夜のライトアップされた場所ではアクセントになる
まずは写りが柔らかくなるという事でポートレート撮影には相性が良いと感じました。
特に子供を撮る時にはこの柔らかさは相性が良く、HDFの気に入っているポイントです。
そして逆光時に撮るとハイライトの滲み具合がノンコーティングのオールドレンズで撮影したような雰囲気になります。
流石にオールドレンズの様なゴーストはHDFでは出せませんが、こういった写りが好きな人には楽しめる効果ではないでしょうか。
続いてHDF効果のメリットとしてモノクロでのHDFの相性が良く、今まで以上に撮影が楽しくなります。
GRシリーズはもともとモノクロでの評判が良いカメラですが、HDFを搭載することによってますます懐の深いモノクロの表現が出来るようになったと思います。
HDFの効果で露出オーバーによって白飛びしている箇所のコントラストが柔らかく、ハイライトからシャドウへの繋がりがとても良く感じます。ですので少々の露出オーバーは許容でき、普段のモノクロより少し階調が良く感じます。
GRのモノクロと言えばハードモノトーンやハイコントラスト白黒が人気なのでGRっぽくは無いのは確かですが、選択肢として新たな表現が増えるのは嬉しいですね。
そしてHDFといえば光源部の拡散効果ですね。夜間のライトアップされた景色では非常に強いアクセントになります。
個人的に少し拡散効果が大きいな感じますが、ここ一番のアクセントには良いかもしれません。別の記事でブラックミストフィルターとの撮り比べもしているので参考にしてみてください。
HDF搭載によるデメリット
逆にHDF搭載によって考えられるデメリットは何でしょう。使用して感じたデメリットを以下に書いてみます。
- NDフィルターが非搭載
- シチュエーションよっては少しあざとく感じる
- HDFによる写りが合わなければ全く魅力が無い
まずは根本的にカメラの諸元の違いとしてHDFを搭載したことによってノーマルバージョンでは搭載されているNDフィルターが非搭載になっています。
これによって絞り開放F2.8ではシャッタースピードが1/2500に制限されるGRⅢ/GRⅢxは、晴天時に露出オーバーになる可能性があります。
対処法としては少し絞って撮影するか、どうしてもHDFで晴天時に開放で撮りたい場合は別途アダプターを用意するかだと思います。
上の写真のような動きのある写真をよく撮る人はNDが搭載されている方が良いかもしれませんね。
そしてシチュエーションよってはHDFの効果が少しあざとく感じることも確かにあります。そういった時はすこし露出を下げてあげるか、もうHDFをOFFにしましょう。
HDFをOFFにすればノーマルのGRⅢ/GRⅢxと写りは全く同じで違いはNDが非搭載なだけですのでHDFの写りが気に入らなければOFFにすれば良いのですが、そもそもHDFの写りが合わない人はノーマルのGRⅢ/GRⅢxを選んだ方が幸せになれると思います。
が、ノーマルのGRⅢ/GRⅢxが売ってないのですよね。SNS等と見ても以前から予約しているのに手元に届かず、メーカーから新たなバージョンのカメラが発売されたと憤っている人を見かけました。
メーカーとしても少ないリソースでやりくりしているのでしょうが、なるべく早く待っている人の手元にGRⅢ/GRⅢxが届く事を願ってやまないです。
28mmか40mmか
最後にGRⅢ/GRⅢxの画角の違いからくるHDF効果の違いですが、当然ながら画角の違いからくるHDF効果の違いはなく、単純に好みの画角で選べばよいかと。
私は換算40mm搭載のXしかHDF搭載機は持っていませんがノーマルGRⅢをリプレースしてHDFバージョンにしようかなと考えています。
別の記事で『GRⅢ/GRⅢx』の画角の違いを比べた記事を書いたので参考にしてみてください。
GRⅢx HDF Street Photography
神戸の街をぶらぶらしながら撮った写真で動画を作ってみました。
POV撮影はOSMO ACTION4とDJI Pocket3で撮影してFIX撮影はLUMIXのS5M2で撮っています。
撮影はHDFに合いそうな被写体を探しながらぶらぶらしたのですが、上手いことハマる被写体を見つけたら嬉しいし撮影も楽しかったです。
朝夕の斜陽から日中も夜間もそれぞれの時間帯によってHDFの効果が楽しめて、GRの新しい表現の方法としてHDFはありだと改めて感じました。
そして何と言ってもこの小さなカメラでフィルターを後付しなくても素敵な効果のあるフィルターワークが楽しめるというのが『GRⅢ HDF/GRⅢx HDF』の1番のメリットだと思います。