今回は11/19にPRUSA RESEACHから発表があった新製品『Prusa Core One』について詳しく見ていきたいと思います。
- PRUSA RESEACHについて
- PRUSA CORE ONEってどんな3Dプリンター?
- ライバルメーカーのCoreXY構造の3Dプリンターと比較してみる
- PRUSA CORE ONEを選ぶメリット
- 感想・まとめ
PRUSA RESEACHについて
まずPRUSA RESEACHについてですが、チェコのプラハに拠点を置くオープンソースの3Dプリンターを開発製造・販売する企業です。
Original Prusa i3シリーズが有名で多くの専門家から高い評価を受けていて、現行機種のMK4は私も愛用しており良くできた3Dプリンターだと思います。
最近は流行りの多色プリントにおいても、PrusaXLというマルチツールヘッド(最大5つ)を有した造形サイズ360×360×360の大型3Dプリンターも販売しています。
ただ数年前までは3Dプリンターといえば「PRUSA」という風潮だったのですが、近頃は「Bambu Lab」等の新しく台頭してきた3Dプリンター企業が人気を集めており、昔の様な勢いが無いのは確かだと思います。
PRUSA CORE ONEってどんな3Dプリンター?
そんな「PRUSA RESEACH」が新しく開発したのが今回発表された『PRUSA CORE ONE』になります。それではここからは『PRUSA CORE ONE』がどんな3Dプリンターなのか見ていきます。
やっとPrusaからミドルサイズのCoreXY機がでた
Prusaといえばi3シリーズ、i3といえばベッドスリンガー方式の3Dプリンター。と連想するぐらい昨今流行りのCoreXY構造の3Dプリンターは採用せずに、オープンタイプのベッドスリンガー方式にこだわってきた「PRUSA RESEACH」。ですが、やっとこさCoreXY構造の3Dプリンターを開発・発表しました。
一応PrusaXLという前述したCoreXY構造の3Dプリンターもラインナップされているのですが、いかんせん本体サイズが700×900×720と大型です。
私も購入手前までいったのですが、新居引っ越しに伴う置き場所の問題で断念してMK4の購入に切り替えました。
そこ今回発表された『PRUSA CORE ONE』はというと415×444×555mmとMK4+エンクロージャーよりもコンパクトなサイズになっています。
そして上でも述べた通り、最近のコンシューマー向け3Dプリンターは高速印刷を謳うCoreXY構造のプリンターに人気が集まっています。
CoreXY構造のメリットとしては
- 高速印刷
- 高精度
- コンパクトな設計
- エンクロージャ機能も兼ねているものが多い
等がありますが動画で詳しく説明してくださっている方がいるので、こちらを参考ください。
ベッドスリンガーにも勿論メリットはあるのですが、PrusaXLをサイズの問題で断念した私としては今回の『PRUSA CORE ONE』はジャストサイズで良いなぁと率直に思いました。
ライバルメーカーのCoreXY構造の3Dプリンターと比較してみる
続いては今市場に発表・発売されているCoreXY構造の3Dプリンターと比較してみました。メーカーと機種は私の独断と偏見です、あしからず。。。
PRUSA CORE ONE | BambuLab X1C | Creality K2 Plus | QIDI Plus4 | |
---|---|---|---|---|
本体サイズ(mm) | 415×444×555 | 389×389×457 | 495×515×640 | 505×487×550 |
本体重量(kg) | 22.5 | 18 | 35 | 32 |
造形サイズ(mm) | 250×220×270 | 256×256×256 | 350×350×350 | 305×305×280 |
最高ノズル温度(℃) | 290 | 300 | 350 | 370 |
最高ベッド温度(℃) | 120 | 120 | 120 | 120 |
最大プリントスピード | 600mm/s | 500mm/s | 600mm/s | 600mm/s |
オートレベリング | ロードセルセンサー | LiDAR+センサー | ◯ 自動傾き補正 | ◯自動水平調整 |
ヒートチャンバー | ◯ | ◯ | ◯ | ◯ |
排出フィルター | HEPAフィルター | 活性炭フィルターあり | 活性炭フィルター | 活性炭フィルター |
多色プリント | MMU 最大5色 | AMS 最大16色 | CFS 最大16色 | QIDIボックス 最大4色 |
AIカメラ | ☓ | ◯ | ◯ | ☓ |
販売価格(本体のみ) | 約¥186,000+送料 | ¥209,000 | ¥205,000 | ¥113,999 |
こうやって見てみるとノズル温度・ベッド温度・プリントスピード等は横並びですね。
造形サイズは本体サイズに比例していますが『X1C』が『PRUSA CORE ONE』より筐体サイズ・重量とも小型ながら比較的大きな造形サイズを担保しているのがわかります。
一方、多色プリントの比較では『PRUSA CORE ONE』はMMU3での対応のみとなっており、他の3機種がBOXタイプになっているのに対して少し見劣りするようにも思います。
私もMMU3に興味あるのですがフィラメントバッファーを用意したりと、それなりの場所が必要そうで二の足を踏んでいます。
PRUSA CORE ONEは送料と為替がネック!?
そしてコスパという面では販売価格に大きな差がありますね。
実際の使い勝手は別として、スペックと値段を考えると『QIDI Plus4』のコスパの高さは異様です。
レビューされている方の動画でもコスパの良い機種と評されている方が多いように思います。
そして『BambuLab K1C』と『Creality K2Plus』は¥209,000・¥205,000と同じ様な価格になっています。
一方『PRUSA CORE ONE』はというと約¥186,000($1,199)で最安かと錯覚しますが、実際には送料がかかります。
Amazonでの販売が開始されれば送料はかかりませんが、今現在は『PRUSA CORE ONE』を購入するにはPRUSA RESEACHから個人輸入するしかありません。
そして日本までの気になる送料は。。。。
1番お安いものを選んでも$178.29=約¥27,500ほどかかります。
本体価格と送料をあわせた合計は$1,199+$178.29=$1,377.29で、現在のレート(2024年11月21日)である1ドル=154.43円で計算すると¥212700となり、比べた4機種の中では最も高額な3Dプリンターとなってしまいます。
※個人輸入において3Dプリンターは関税はかかりませんが、後日消費税と地方消費財、税関手数料の請求書が届きます。なのであと+¥7000程は支払いが増えると思います。
PRUSA CORE ONEを選ぶメリット
じゃあ『PRUSA CORE ONE』を選ぶメリットは無いのかというと、幾つか選ぶメリットもあります。
- アクティブヒートチャンバーでPLA等も庫内の温度を気にせずプリントできる。
- CoreXY構造のプリンターにしてはメンテが楽そう。
- 活発なコミュニティがある。
- ファームアップデートで使い勝手や機能が強化される可能性がある。
とこんなところでしょうか。以下順番にみていきます。
アクティブヒートチャンバーで庫内の温度を調整できる
一般的にヒートチャンバーを備えた3DプリンターではPLAやPETGをプリントする場合は、庫内の温度を上げすぎないように扉を開けてプリントしたりしますが、『PRUSA CORE ONE』はPLAやPETGのプリント時は内部温度を可能な限り低く保って扉を締めたままでも品質の良いプリントが可能になっています。
メンテナンスが楽な昆虫の外骨格をイメージした構造
『PRUSA CORE ONE』は全ての部品をネジ構造で接続されており、ドライバー1本でプリンター全体を分解することが可能な作りになっています。
公式のリリースによると、CoreXYの機能部品を交換するのに20分もかからないメンテナンス性だそうです。
活発なコミュニティがある
公式HPにあるForumで世界中のPRUSAユーザーが意見を交換しており、分からないことがあってもここで質問すれば答えがみつかったりします。
PRUSAの3Dプリンターはファームアップやアップグレードがあるので購入したプリンターを末永く使える。
これは実体験からも感じることですがPRUSAのプリンターは頻繁にFWのアップデートがあり、修正や機能が追加たびたびあります。
私が数年前に初めて購入した『Prusa Mini』もいまだにFWのアップデートがあり、機能が追加されて今も現役で使用しています。
そしてPRUSAといえばアップグレード。なんと今回も『MK4S』を『PRUSA CORE ONE』へ変換できる 『Prusa CORE One コンバージョンキット』が発売されるようです。
リリース時期は2025年3月で価格は$449となっています。
うーん、使えるパーツが少なそうだ。。。。
感想・まとめ
今回はPRUSA RESEACHから新しく発表された『PRUSA CORE ONE』について書いてみまいした。
いくつか気になる点はありますが、1PRUSAユーザーとして欲しいですというのが率直な感想です。たぶん購入するとしてもコンバージョンキットになるとは思うのですが。
ただ一つ気になるのは何故この時期に「PRUSA RESEACH」は新型の3Dプリンターを発表したのかなという事です。
通年通りならブラックフライデーの送料無料キャンペーン等で現行のプリンターの売上アップを図る時期に、ユーザーの買え控えを招く新機種発表をした理由は何でしょうか。
MK4Sを発表したばかりで、本当はもう少し後に発表する予定だった新機種を急ぎ予定を前倒しに理由は。。。考えすぎでしょうかね。